23年の経験を持つベテラン防水職人。
これまで国や役所関係の大規模な仕事を多く施工してきたので、知識や技術には自信がある。
常にお客様の事を心掛け、お客様が納得するまで丁寧にお話をさせていただく。
趣味は読書。家庭では大学生の息子と高校生の娘の父親。
2020年2月12日
雨漏りを引き起こす可能性!?手抜き工事について |
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現場管理、見積もり担当の松尾です。 前回のブログでは大手会社に依頼して工事をしたにも係らず、雨漏りになってしまったお宅を3件ほどご紹介しました。 今回も同じ大手会社で、手抜き工事現場に遭遇しましたので、書きたいと思います。
大手会社が施工中にも関わらず、こちらのお宅に伺うことになった理由は、この家の奥様が工事の現場であるものを見つけてしまったことでした。 こちらのお宅は、前回のブログでも出ました某大手会社に外壁塗装を依頼しました。 下地の上に中塗りでシリコン塗料を塗り、さらに上塗りでシリコン塗料を塗る3層仕上げの予定でしたが、ふと現場を見るとアクリル塗料の缶が……。 奥さんは見つけたアクリル塗料缶を業者に突き付けて、どういうことなのか聞いたのだそうです。 すると業者は、中塗りにアクリル塗料を使ったと言ったのです。 ちなみにいうと、本来であればシリコン塗料を使うところ、アクリル塗料を使うと、材料費を浮かすことができます。 表面はシリコン塗料で塗ったので、壁の耐久性としては強いことは強く、まぁまぁ外壁がもつこともあるかもしれませんが、お客様が業者に払っている値段はあくまでも「シリコン塗料で3層仕上げ」の工事費なのです。 奥さんは「もうこの業者には壁を触らせたくない!」とおっしゃり、うちにご依頼を頂いた…というのが経緯でした。 まるで上げ底弁当のような、分かりやすい手抜き工事です。 (これが実際の写真です) 大手会社は、下請けに丸投げしてやらせることも多く、工事費から多くの利益を搾取します。 その為、下請けの業者は少ない工事費で受注をするため、このように材料費を安くしたり、注文通りの塗料は使うもののシャバシャバの塗料で塗って使う缶数を減らしたりするしかないのです。 初回の塗装で手抜き塗装をされてしまうと、その後雨漏りなどを引き起こし、その後にとんでもない金額の工事をしなければならない場合も。 僕が知っている業者の中には、大手会社やネットで優良企業と謡っているにも関わらず、3か月くらいしか防水工事の経験がない業者もいます。 なぜこのような塗装のトラブルは絶えないのか…、それには3つの「悪条件」があると思います。 【塗装トラブルを引き起こす 3つの悪条件】
この3つの悪条件が、いつもぐるぐると回って、数年後に雨漏りの原因や壁がひび割れ破断したりし、消費者であるお客様が一番損をしてしまうことになるのです。 では、どうやって業者を決めればいいのでしょうか。 僕は、結局「人」を見ることが大切なのだと思います。 結婚と同じです。人を見定めることが、外壁塗装でもとても重要なのです。 たまに、ご依頼前に現場に職人の工事を見学にいらっしゃるお客様がいます。 職人の実際の仕事ぶりを見て、確かめてご依頼をして下さります。 だいたいのお客様は、こんなに時間をかけることはありませんが、僕はこれも一つの信頼の仕方だと思います。 難しい病気になってネームバリューだけの大病院にかかったけど、結局研修医にしか担当してもらえない場合と、「この先生に手術をしてほしい」と先生名指しで病院にかかる場合。 どちらの手術が、成功率は高いでしょうか? 置き換えて考えてみれば、簡単なことです。 100万以上ものお金をかけて行う、家の大事な手術=工事です。 この1回の塗装で、家は長持ちするのか傷むのか大きく分かれます。 どの会社も工事内容は同じだから、安いほうがいい…ではないのです。
外壁塗装は、きちんとやろうと思うと、どうしても金額がかかります。 安い場合は、まず疑ってかかることをお勧めいたします。 安い時には、必ず安いなりの理由があるのです。 家と一緒に、住んでいるお客様も年を取ります。 最初の工事を適当にしてしまったために、晩年にお金がかかってしまうのは本当に大変です。 僕が担当したお客様の中にも、悪質な塗装が原因で家にヒビが入ってしまっているにもかかわらず、ご自身の年齢が理由で工事をあきらめ、朽ちていく不安定な家で過ごすのを選んだ方もいました。 お客様に、お金を出して頂いておこなう工事です。 どうかこのブログを読んで、悪質塗装が引き起こす雨漏りを避けるためにはどのようにしたらいいのか…考えて頂けたら本当に嬉しいです。
こちらは塗装会社の選び方の動画です。参考にしてください。 |
2020年2月3日
屋根や壁のトラブル 雨漏りの原因は? |
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現場管理、見積もり担当の松尾です。 今回は、雨漏りの原因や施工不良など、塗装のトラブルをご紹介します。
このトラブルを話す前に、雨漏りについてお話致します。 雨漏りの原因を探すのは、非常に大変です。 つい「雨の侵入箇所をふさげば、修繕できるかな?」と軽く考えがちですが、雨というのは、数ミリの穴からも侵入し、侵入した雨の逃げる場所が無いと、逃げ場を探して隙間に流れていきます。その流れが、いつのまにか「水みち」になり、「水みち」が家屋の木部をじわじわと侵食し、腐敗させていきます。
【雨漏りストップ屋上防水】
雨漏りの原因を探して塞いでも、実は他にも原因があって雨漏りが止まらない…なんてこともよくあります。 ですので、雨漏りの原因を探すとき、僕は自分の知識も疑っていろんな人の意見を聞いて、慎重に慎重を重ねるのです。
今回は、そんな雨漏りが原因でご相談を頂きました。
まずは、この「陸屋根」のお家の雨漏りについてです。 フェンスの外に屋根を囲む塀があるのはお分かりになりますでしょうか? 通称パラペット…と呼ばれる屋根の立ち上がりの部分です。 陸屋根を囲む塀(パラペット)には、「笠木」というアルミでできた屋根をかぶせてあるのですが、今回のお宅は、笠木の水を排出する部分の隙間に防水処理を施して塞いであり、笠木の連結部にも処理した形跡があるものの、連結部の隙間から水が入り込み、笠木の中に水をため込んでいる状態でした。
そのため、笠木の中にため込んだ水が、ひび割れから屋根の天井裏の木の部分に逃げ、天井裏はかなり水を吸ってしまっている状態に。 陸屋根にせっかく防水材を何回も塗ったり張ったりしているにもかかわらず…、笠木部分の処理を間違えたことで、深刻な雨漏り状態です。
また、笠木の連結部の隙間から入り込んだ水は、水みちをつけて建物の中に入り込んでいたので、水みちの周りも建物を傷めていました。
実はこの笠木の水はけ出口を塞いでしまっていた工事は、ここで名前は言えませんが…よくテレビでCMが流れる大手会社の施工も絡んでいるのです。 この家のお客様も、大手の会社だから安心してお願いしていたのに…とおっしゃっていました。
この施工は、言うなれば初歩的なミスと言えます。 水の出口に栓をして、入口から水を注ぎこめば中に水がたまるのは明白だからです。
笠木の中は、通常防水処理をするので、多少の水は大丈夫なのですが、水が溜まってしまうのには耐えられません。
多少の水…というのは、笠木の連結部から侵入する雨や、ネジ沿いに入り込む雨などのことです。 こう聞くと、連結部やネジの部分を防水剤で塞いでしまてば、入口から水が入るリスクも減るのではないか…と思う方もいらっしゃると思いますが、笠木の連結部分は、剥離をするように仕上げます。 それは笠木の素材であるアルミが熱で膨張するため、動きが出るからです。そこに防水をかぶせてしまうと、笠木が熱で膨張した際に、その動きにつられて防水の膜が破断したりします。それなので、わざと隙間を空けて剥離するように仕上げるのです。
笠木の素材のことや、仕組みを理解していれば、このような水はけ口を塞いでしまう…という工事はしないはずなのです。 でも、この写真を見ると、なんとなく連結部分に処理をした形跡はあるものの、笠木の膨張を甘く見ている感があります。
そうした様々な要因で、連結部分にできたヒビが床までいってしまったのでしょう。
本来であれば、雨漏りの原因を探すのは本当に大変なのですが、今回のお宅はあまりにも分かりやすすぎて、「ドッキリか何かかな…?」と不安になるくらいの現場でした。
次は、こちらのお宅です。 こちらのお宅は壁に、ALCと呼ばれる壁素材と、モルタルという壁素材の複合壁なのですが、違う素材と素材の間に、間接の役目をするシーリングを打たなかったために、大きくひび割れてしまっていました。 そこから雨が侵入し、雨漏りの原因となっていたようです。 ALCとモルタルを重ねるというのは、どういうことかと言うと、例えるのであれば、骨と骨を直接くっつけただけなので、かたい部分がぶつかり合って割れてしまった…というイメージです。 人間の骨と骨の間には、間接部分に軟骨や滑液などのクッションの役目をするものがあります。 言うなれば、この壁はクッションがない状態で繋げている状態なのです。
家は様々な条件で揺れたりするのですが、その時にこのALCとモルタルでは違う動きをします。これが原因で、大きなヒビになってしまったようでした。 ではなぜシーリングを打たなかったのか。 それは、この壁がバブル期に工事したものだったからです。 当時はシーリングを打つ工事の知識があいまいだったこともあり、シーリングを打つ業者と打たない業者があったようです。 この工事をしたのも、この工事をしたのも、知名度のある有名な会社様でした…。
現在は、ALCとモルタルで重ねるのであれば、シーリングで誘発目地を作り、摩擦を軽減します。
今回お伺いした時は、割れていてどうにもならない状態だったので、バールでこじ開け、割れているところをカットし、シーリング材を入れて工事することにしました。
また、ダブルシールと言われる工法で、シーリング材を2つ、それぞれを剥離させることで水が浸入する際の堤防を二つにする方法を取りました。
割れている「地」にコーキング剤を打って、動きに対応するようにして、さらにモルタルで壊れた部分の壁と目地を成型し、その後また目地にシーリング材を打ちます。 こうすることで、目地の防水で水の侵入を防ぎ、さらに目地の下に入り込んだ際には、内部のシーリング材で水の侵入を防ぎます。 計2回雨の侵入を防ぐことで、より確実な防水になるのです。
また別の家ですが、この壁は構造計算がうまく出来てなかったために、ひび割れてしまっています。この家は、塗装をして5年も経っていません。 やはりこちらも、知名度のある会社様の施工です。
僕のブログで何度かお話していますが、大手会社だからと言って、必ずしもいい工事をしてくれるわけではないのです……。
実は今回、別の現場でこの大手会社のあからさまな手抜き工事現場に出くわしました。 それについては、次のブログで書きたいと思います。 つづく
【ヤフー知恵袋・雨漏り関連】 屋根塗装後に雨漏りです。築13年で外壁塗装の塗り替えと合わせて実施しました。 リフォーム業者に見積を依頼したところ、屋根(カラーベストコロニアル(ノンアスベスト))が30~40箇所ほど割れていました。 |
2020年1月8日
うちの正月の出来事:見積り担当 松尾 |
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